はじめに
本記事ではコラムとして、「ケアテイキング」と「ガイディング」について取り上げていきます。
このカタカナ語をそれぞれ日本語に直すと「ケアテイキング=お世話」、「ガイディング=指導」になります。
福祉や教育に関連するにあたって「お世話(ケアテイキング)」や「指導(ガイディング)」という言葉は必ずといってもいいほど身近にあります。
しかし、皆さんはその本当の意味をご存じでしょうか?
本記事を最後まで読んだ後は、「お世話」や「指導」の本当の意味がわかるようになりますので、短いですが良かったら最後までご覧ください。
支援における世話人と指導員の役割
皆さんは「お世話」や「指導」というフレーズに対してどんなイメージを抱きますか?
福祉や教育の世界だと、職業として「世話人」や「●●指導員」という役割が存在します。
きっと「世話人」といったら、ご飯を作ったり、掃除をしたりとなど「生活場面における身の回りのお世話」といったイメージを抱く方が多いのではないでしょうか?
また「指導員」といったら、「職業指導」や「学習指導」、「生活習慣の指導」といったイメージを抱く方も多いのではないでしょうか?
しかし、これらの本質を捉えていく上で大切なことは、日本語ではなくカタカナ(もしくは英語)でみていくことです。
世話人はいわゆる「ケアテイカー」となり、指導員はいわゆる「ガイド」になります。
これについてもう少し詳しくみていきましょう。
ケアテイキングとは?
ケアテイキングとは、「安全で支えとなる環境を提供すること」が役割になります。
人が成長したり、治療や療養をしていく上で環境調整を行うことがケアテイカー(世話人)の役割になります。
例えば、子どもが成長するためには、「遊び場」を提供することが必要です。そこでは「危険なものを取り除くこと」、「興味が持てる遊具を用意すること」といった環境にアプローチします。そうすることで、子どもは探索活動に集中することができます。
また治療や療養といった場合には、休める環境や食事提供、衛生的に整った空間といった環境を提供します。そうすることで、治療や療養に専念することができます。
このように「ケアテイキング」は、環境を整えることを役割とします。
それはすなわち「安心できる環境」を提供するとも言えます。
ガイディングとは?
ガイディングとは、「現在の状態から望ましい状態への道筋を案内すること」が役割になります。
はじめて旅行に訪れる場所を例にとると、行きたい場所へ行くための地図や矢印、看板や案内人などが必ず存在します。
またそれだけではなく、方法や慣習、文化や歴史などといった「知識」を知ることや理解することを補完することも行います。
実は、「ガイド」の語源は「知る」という意味の「witen」に由来します。
このようにガイディングは、相手が自ら道を進んでいくことができるように案内することや、その途中にある機会や知識を認識できるよう手助けすることが役割になります。
名前が持つ影響力
このように日本語でいう「お世話」や「指導」のイメージは、英語でいう「ケアテイカー」や「ガイド」とは意味が少し離れてしまっていることに気づきましたでしょうか?
これが「支援者」を間違った方向に導いてしまっております。
日本では職業名として「世話人」や「指導員」としてしまうことで、役割が「お世話」や「ご指導」となってしまうことがあります。
正しくは「ケアテイキング」や「ガイディング」が本来の役割になります。
それは言い換えれば、「環境因子にアプローチする」という視点になります。
まとめ
以上が簡単ではありますが、「ケアテイキング」と「ガイディング」について紹介の記事になります。
人は適切な環境や道標が与えられたのであれば、自らの力とリソースを使って、目標到達に向けて進んでいきます。
対人支援では「説得」という言葉をよく耳にしますが、心理学で「ブーメラン効果」があるように、説得はむしろ逆効果になってしまうことがあります。
大切なのは環境へのアプローチになります。
本記事を通じて、教育や福祉の世界で、この「環境」という視点をもつ人が少しでも増えることがあれば幸いです。
良かったら身近な方にも本HPや記事をシェアしていただければ何よりです。
引き続きどうぞよろしくお願いします。
☆参考文献
人を覚醒に導く史上最強の心理アプローチ NLPコーチング ロバート・ディルツ著 横山真由美訳 足達大和監修 GENIUS PUBLISHING 第1章ケアテイキングとガイディング P40~45