福祉国家|社会福祉士国家試験道場


福祉国家

★ベヴァリッジ報告(1942年)・「ゆりかごから墓場まで」をキーワードに福祉国家の考え方を提唱
・ナショナルミニマム(最低限度の生活保障)を原則
※ナショナルミニマムを提唱したのはウェッブ夫妻の産業民主制論(1897年)
 実現したのはウェッブ夫妻のもとで学んだベヴァリッジ
ベヴァリッジ報告キーワード①5つの巨人(five giants)
①窮乏(want)→社会保険制度が有効
②疾病(disease)→社会保障制度が必要(保険・医療)
③無知(ignorance)→社会保障制度が必要(教育・科学)
④不潔(squalor)→社会保障制度が必要(住宅・環境)
⑤怠惰(idleness)→社会保障制度が必要(労働・完全雇用)
※①窮乏は社会保険、その他は社会保障
ベヴァリッジ報告キーワード②社会保障計画の構成
①社会保険 → 基本的なニーズに対応
②国民扶助 → 特別なケースに対応、ミーンズテスト(資力調査)を条件
③任意保険 → ナショナルミニマム以上の水準を望む場合
ベヴァリッジ報告キーワード③政策を遂行するための条件
①児童手当
(大家族の所得保障・子どもの健全な生活の確保・人口維持など)
②包括的な保険およびリハビリテーション・サービス
(病気の予防や治療・リハビリーテーションを全ての国民に保障)
③雇用の維持
(失業者が大量にでないよう対策)
★貧困の再発見(1960年代)アメリカ・ジャーナリストの「マイケル・ハリントン」
・「もう一つのアメリカー合衆国の貧困」を執筆
・アメリカ国民1億8千万人のうち、4000万人~6000万人が貧困状態である事実を明らかにする
・その後ケネディ大統領やジョンソン大統領による「貧困戦争」と呼ばれる政策につながる
例)フード・スタンプ制度(食糧補助)、ヘッド・スタート計画(就学前教育)
★貧困の再発見(1960年代)イギリス・「貧困者(層)と極貧者(層)」
・ピーター・タウンゼントとブライアン・エイベル・スミス教授による執筆
・絶対的貧困から相対的貧困への流れ
・相対的剥奪の提唱
相対的貧困・周囲と比較して劣っていること
・周囲の人が通常できることができないこと
・時代や社会情勢に応じて変化していく
・絶対的貧困より可視化されにくい
(絶対的貧困:肉体維持や生命レベルで生きる上で必要な最低限度の生活水準)
相対的剥奪・人々が社会で通常手に入れることのできる栄養、衣服、住宅、居住環境、就労、環境面や地理的な条件についての物的な標準にこと欠いている
・一般に経験されているが享受されている雇用、職業、教育、レクリエーション、家族での活動、社会活動や社会関係に参加できない、ないしアクセスできない
★サッチャリズム(小さな政府)・イギリスはオイルショックの影響もあり1978年~79年は「不満の冬」社会的混乱
・政権交代によりサッチャー政権が誕生(保守党)
・経済低迷の原因を福祉国家体制にあるとする
・スローガン「ヴィクトリア朝に帰れ」、福祉国家の縮小(小さな政府)を目指す
・この政権下で「グリフィス報告」や「ワグナー報告」が提唱
グリフィス報告(1988年)・コミュニティケア
・個人のニーズに基づいたケアパッケージの提供の仕組み
・福祉多元主義として、公的部門のみならず民間部門(営利・非営利)やインフォーマル部門も含めた多様な提供者によるサービス
・コミュニティケア政策の転換期
ワグナー報告(1988年)・施設ケアー積極的な選択
・施設の虐待や不十分な職員研修、モラルの低下を指摘
・施設を利用者が自ら選ぶ価値のある積極的な選択の一つとして位置づける
・職員を中心的な資源
★ブレア政権(第三の道)・経済学者のアンソニーギデンズによる「第三の道」
・「福祉から就労へ」ポジティブウェルフェア
(福祉受給者が労働市場に復帰できる支援策による生活向上と自立)