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ソーシャルワーク理論(アプローチ)は、時代の流れとともに多様に発展してきました。これはソーシャルワークの歴史や源流を理解するうえで欠かせない要素です。また、社会福祉士の養成課程や国家試験でも、ソーシャルワーク理論やアプローチについて学ぶ必要があります。
本記事では、「ソーシャルワークのアプローチにはどのような種類があるのか?」という疑問にお答えするため、初心者向けに基本から具体的な種類までをわかりやすく解説します。
心理社会的アプローチ
心理社会的アプローチは、「診断主義アプローチ」の流れを汲む理論であり、フローレンス・ホリスが発展させた概念です。このアプローチは「状況の中の人」という視点を基盤に、利用者をその社会的文脈の中で理解し、心理的な課題と社会的要因の両方に対応します。たとえば、職場のストレスが家庭環境にも影響を及ぼす場合、このアプローチでは両者を包括的にアセスメントし、適切な介入を行います。利用者とその周囲の環境を一体として捉えることで、問題解決と生活の質向上を目指します。
診断主義アプローチについて要点キーワードまとめ|ソーシャルワークの理論を辿る - SOCIAL CONNECTION
・源流:診断主義アプローチ(フロイト派・精神分析理論・過去に焦点) ・リッチモンド:「人と環境の間を個別に意識的に調整」「パーソナリティの変容」 ・提唱:フローレンス・ホリスが発展 「状況の中の人」 |
機能主義的アプローチ
機能主義的アプローチは、ランクの「意思心理学」を基盤とし、タフトとロビンソンによって実践理論として発展したアプローチです。この手法は、利用者の「現在」に焦点を当て、過去の経験よりも現在の意思や行動を重視します。具体的には、利用者が持つ能力を引き出し、現実的で達成可能な目標に向けて行動を促進します。たとえば、職場復帰を目指す利用者が、自身の強みを活かして新しいスキルを習得する支援を行います。ソーシャルワーカーは支援の過程で、利用者が主体的に意思決定し、変化を実現できるよう協働します。
機能主義アプローチについて要点キーワードまとめ|ソーシャルワークの理論を辿る - SOCIAL CONNECTION
・源流:ランクの意思心理学(過去ではなく現在・意思と対抗意志・創造性) ・提唱者:タフト、ロビンソン、スモーリー ・機関の機能(できることと、できないこと、本当に援助を求めているか、機関が困難に役に立つか一緒に考える) ・教育や哲学、芸術などあらゆる学問を取り入れる |
危機介入アプローチ
危機介入アプローチは、個人が急性の心理的ストレスや危機的状況に直面した際に、短期間で集中的な支援を提供し、心理的均衡を回復させることを目的とした手法です。このアプローチは、エーリヒ・リンデマンやジェラルド・キャプランによって提唱されました。危機的状況において、クライエントの感情の表出を促し、現実認知をサポートし、対処能力の向上と社会的サポートの活用を支援します。具体的な事例として、自然災害や重大な喪失を経験した個人への心理的支援が挙げられます。
・対象:危機状態に陥っている人 ・早期介入(短期集中的) ・リンデマンやキャプラン ・例)感情的に混乱状態にあるクライエントに対し、その社会機能の回復に焦点を当てた対応を行う |
問題解決アプローチ
問題解決アプローチは、Helen Harris Perlmanによって提唱され、折衷論に基づいた実践モデルです。「4つのP」(人、問題、場所、プロセス)に注目し、利用者の課題を部分化して対処する点が特徴です。また、「ワーカビリティ」を重視し、利用者が主体的に取り組む意欲を育てる支援を行います。たとえば、経済的困難に直面する家庭では、課題を小さく分け、家計改善の具体的な手順を計画します。このアプローチは、利用者が現実的かつ達成可能な目標を見つけるために効果的です。
パールマンの問題解決アプローチとは?|ワーカビリティや4つのPについて徹底解説 - SOCIAL CONNECTION
・提唱者:パールマン ・源流:診断主義と機能主義の折衷論 ・4つのP (人・問題・場所・過程) ・ワーカビリティ(クライエント自身が抱える問題を解決しようとする動機や、支援機関と効果的に関わる能力) ・役割理論 ・部分化(小さく分けた課題に取り組むことで、大きな問題に圧倒されず、自己効力感を高め問題解決に導く) |
一般システム理論
一般システム理論は、利用者を取り巻く環境や社会的ネットワークを「システム」として捉え、これらの相互作用を理解することで問題解決を図るアプローチです。利用者が属する家庭、学校、職場、地域社会などの各システムがどのように影響し合っているかを評価し、支援計画を立てます。この理論では、問題は個人に内在するものではなく、システム間の不均衡や機能不全によって引き起こされると考えます。ソーシャルワーカーは、各システムの調和を図ることで利用者の生活環境を改善し、課題解決を促進します。
・ベルタランフィが提唱 ・システムを有機的な立場で捉える ・システムを外部環境に対して開かれている開放システム ・システムとシステムは関連し合っている(独立ではない) |
行動変容アプローチ
行動変容アプローチは、行動主義心理学に基づき、クライエントの望ましくない行動を修正し、適応的な行動を促進することを目的とした手法です。具体的な技法として、正の強化、負の強化、モデリング、シェイピングなどが用いられます。例えば、社会生活技能訓練(Social Skills Training: SST)は、観察学習を応用し、適切な社会的行動を習得するためのプログラムです。行動変容アプローチは、特定の行動パターンを変えることに焦点を当て、クライエントが日常生活で直面する課題に対処する能力を高めることを目指します。
・フィッシャー、トーマスらが提唱 ・学習理論に基づく ・例)レスポンデント条件付け(パブロフ)、オペラント条件付け(スキナー)、試行錯誤学習(ゾーンダイク)、洞察学習(ケーラー)、SST(社会生活技能訓練) |
エコロジカルアプローチ
エコロジカルアプローチは、個人と環境との相互作用に焦点を当て、利用者が置かれた状況を全体的に捉える支援方法です。このアプローチでは、利用者の生活を取り巻く複数のシステム(家庭、学校、地域社会など)がどのように影響を及ぼしているかを評価します。利用者の課題を個人の責任に帰するのではなく、環境要因を考慮し、適切な調整や介入を行うことが特徴です。支援者は、利用者と環境との関係性を強化する手法を用い、より良い生活環境の構築を目指します。
・ジャーメインとギッターマンが提唱 ・生態学に基づく ・人と環境の交互作用 ・システム理論 |
愛着理論
愛着理論は、英国の精神科医ジョン・ボウルビーによって提唱され、幼少期における養育者との情緒的な結びつきが、個人の人格形成や対人関係に深く影響することを示しています。この理論は、乳幼児が主要な養育者と形成する「愛着」が、その後の社会的・情緒的発達において重要な役割を果たすと強調します。愛着のスタイルは主に「安定型」「不安-回避型」「不安-アンビバレント型」「無秩序型」の4つに分類され、これらは成人期の対人関係やストレス対処法にも影響を及ぼします。ソーシャルワークの実践において、愛着理論は、クライエントの過去の関係性や現在の行動を理解し、適切な支援を提供するための枠組みとして活用されています。
・アタッチメント(愛着):子どもと養育者の情緒的な結びつき ・ボウルビ-が提唱 ・愛着タイプの要因として、養育者の態度だけでなく子どもの気質も影響 ・「安定型」「不安-回避型」「不安-アンビバレント型」「無秩序型」 |
役割理論
役割理論は、社会学や社会心理学の分野で発展した概念で、個人が社会の中で果たすべき役割と、それに伴う期待や行動を分析する枠組みです。人々は家庭、職場、地域社会など、さまざまな場面で異なる役割を担い、それぞれの役割に対して社会的な期待が存在します。役割理論は、これらの期待と個人の行動との関係を理解し、役割葛藤や役割不履行などの問題を解決するための視点を提供します。ソーシャルワークにおいては、クライエントが直面する役割上の課題を評価し、適切な役割遂行を支援するための基盤として活用されます。
・役割期待:社会が特定の役割を担う個人に対して求める行動や態度 ・役割距離(ゴッフマン):個人が特定の社会的役割に過度に同一化することを避け、一定の心理的距離を保つこと(例:メリーゴーランドで子どもが親の期待通りに乗らない、外科医が手術中に冗談を言う) ・役割取得(ミード):他者の視点や期待を理解し、それに基づいて自分の行動を調整するプロセス、鏡に映った自己(例:ごっこ遊び) ・役割葛藤(マートン):個人が複数の役割を担う中で、それぞれの役割の期待が相反する状況に直面すること |
ゲシュタルト理論
ゲシュタルト療法は、フレデリック・パールズ(フリッツ・パールズ)とその妻ローラ・パールズによって20世紀中頃に開発されました。この理論は、「全体性」を重視し、人間の思考、感情、身体感覚を統合的に捉えることを目的としています。特に「いまここ」に焦点を当て、現在の体験への「覚知」(気づき)を促進する点が特徴です。
ゲシュタルト療法の中心概念には「図と地」があり、個人が注意を向ける部分(図)と背景(地)の相互作用を理解することで、問題を整理し解決の糸口を見出します。また、「接触」を通じて自己と環境の健全な関係を築き、「自己調整」を高めることで、個人はバランスの取れた生活を送れるようになります。このアプローチは、自己理解と成長を促進する実践的な手法として広く応用されています。
・提唱者:パールズ ・ゲシュタルト心理学に基づく ・全体性:人は要素を単独で捉えるのではなく全体の中で意味を理解する ・図と地:対象(図)と背景(地)の関係に注目 ・接触:自己と環境の健全な関係性を築く ・自己調整:バランスを調整 |
エンパワメントアプローチ
エンパワメントアプローチは、利用者が自身の力を発見し、活用できるよう支援する方法です。このアプローチは、利用者の自己決定力を高めることを重視し、利用者が持つ潜在的な力や資源を引き出すプロセスを通じて行われます。また、社会的不平等や抑圧的な状況にある利用者が、自己主張や権利行使を行えるようサポートする点も特徴です。ソーシャルワーカーは利用者と対等な関係を築き、利用者が自己の目標に向けて主体的に行動する環境を整えます。
・提唱者:ソロモン「ブラック・エンパワメント」 ・ソーシャルアクション:抑圧からの解放 ・潜在能力や資源を引き出し、対処能力を高める |
フェミニストアプローチ
フェミニストアプローチは、ジェンダーの視点を中心に据えた支援方法で、社会的な不平等や抑圧構造に立ち向かうことを目的としています。このアプローチは、特に女性やマイノリティの権利擁護を重視し、利用者が直面する課題の背後にある社会的・文化的要因を明らかにすることに重点を置きます。支援者は利用者と対等なパートナーシップを築き、自己決定を尊重しながら、社会的変革を促進する具体的な支援を提供します。
・フェミニズムに基づく ・ジェンダー(女性やマイノリティ)の権利擁護 ・エンパワメントアプローチ ・ソーシャルアクション |
パーソンセンタードケア
パーソンセンタードケアは、英国の心理学者カール・ロジャーズの人間性心理学に基づき、個人の価値観や選好を尊重し、その人らしさを中心に据えたケアを提供するアプローチです。特に認知症高齢者のケアにおいて、個々の心理的ニーズを満たすことが、QOL(生活の質)の向上に寄与することが示されています。このアプローチでは、クライエントの尊厳を守り、自己決定を尊重することが重視されます。具体的な実践として、クライエントの生活歴や嗜好を理解し、それに基づいた個別ケアプランを作成することが求められます。
・カールロジャーズの人間心理学に基づく(共感や受容) ・高齢者や認知症ケアに用いられる ・自分らしさ(Identity) ・結びつき(Attachment) ・携わること(Occupation) ・共にあること(Inclusion) ・くつろぎ(Comfort) |
マインドフルネス
マインドフルネスは、仏教の瞑想実践に由来し、現在の瞬間に意識を集中させ、評価や判断を加えずに体験を受け入れる心的態度を指します。近年、心理療法やソーシャルワークの分野で、ストレス軽減や情動調整の手法として取り入れられています。マインドフルネスの実践は、自己認識を高め、ストレスや不安の軽減に効果があるとされています。具体的な技法として、呼吸に意識を向ける瞑想や、日常生活の中でのマインドフルな行動が推奨されています。
・瞑想 ・今この瞬間に意識を集中 ・現実をあるがままに受け入れる ・呼吸に意識を向ける ・心と身体の状態に気づく ・コーピングの一種 |
解決志向アプローチ
解決志向アプローチは、短期間で成果を上げる「短期療法」として発展し、利用者の強みや資源を活かして解決策を見つけることを重視します。特徴的な技法として「ミラクルクエスチョン」があり、問題が完全に解決した未来を想像させることで目標を明確化します。「エクセプションクエスチョン」は、過去の成功例や例外的な状況を掘り下げ、それを現実の解決に応用します。「スケーリングクエスチョン」は、進捗を数値化し、次のステップを考える指標とします。「コーピングクエスチョン」では、利用者が既に行っている対処法を評価し、支援計画に活用します。これらの技法により、利用者は自らの力で解決に向けた行動を起こしやすくなり、短期間での目標達成が期待できます。
・ブリーフセラピー(短期療法) ・ミラクルクエスチョン(もし奇跡が起こって~) ・エクセプションクエスチョン(例外探し) ・スケーリングクエスチョン(数値化) ・コーピングクエスチョン(既に行っている対処法) |
ナラティブアプローチ
ナラティブアプローチは、利用者の物語(ナラティブ)に注目し、その語りを通じて利用者が自らの課題を再解釈し、新たな可能性を発見できるよう支援する方法です。このアプローチでは、利用者が過去の経験や現在の状況をどのように語るかに焦点を当て、語りの中に潜む問題の原因や解決のヒントを見出します。ソーシャルワーカーは、利用者が自身の物語を再構築し、肯定的な未来を描けるよう寄り添いながら支援します。
・物語理論 ・ホワイト、エプストンら ・クライエントが語る物語(ストーリー)を重視 ・現実は主観的なものとして捉える ・ドミナントストーリー(クライエントがこれまで作り上げてきた物語) ・オルタナティブストーリー(ドミナントストーリーを書き換える) ・問題の外在化 ・無知の姿勢 ・伝統的な科学主義、実証主義に対する批判として誕生 |
社会構成主義
社会構成主義は、現実や知識が社会的な相互作用を通じて構築されるとする理論的視点であり、ソーシャルワークにおいては、クライエントの問題やニーズが社会的文脈や関係性によって形成されることを強調します。この視点に基づくと、クライエントの課題は個人の内面的な問題としてだけでなく、社会的な要因や他者との関係性の中で理解されるべきであると考えられます。ソーシャルワーカーは、クライエントとの対話を通じて新たな意味や解釈を共同で構築し、クライエントが自己理解を深め、主体的に問題解決に取り組むことを支援します。これにより、クライエントは自身の物語を再構築し、新たな視点から自己や状況を捉えることが可能となります。
トラウマインフォームドケア
トラウマインフォームドケアは、利用者が経験したトラウマの影響を考慮した包括的な支援アプローチです。トラウマの背景を理解し、利用者の安全感を確保しながら、信頼関係を構築することを重視します。支援のプロセスでは、利用者が再び傷つくことがないように配慮し、自立を促すことが基本です。また、ソーシャルワーカー自身もトラウマの影響についての専門知識を持ち、利用者の行動を理解する視点を養うことが求められます。このアプローチは、虐待や暴力、自然災害などのトラウマを抱える人々に対して特に効果的です。
カオス理論
カオス理論は、非線形で予測困難なシステムの挙動を理解するための数学的枠組みであり、ソーシャルワークにおいては、複雑で動的な社会システムや個人の行動を分析する際に応用されています。この理論は、システム内の小さな変化が大きな影響を及ぼす可能性を示す「バタフライ効果」などの概念を含みます。ソーシャルワークの実践において、カオス理論は、クライエントの生活環境や社会的ネットワークが複雑に絡み合い、予測困難な変化を引き起こすことを理解するための視点を提供します。これにより、ソーシャルワーカーは柔軟で適応的な支援戦略を構築し、クライエントの多様なニーズに対応することが可能となります。
ソーシャルワークアプローチを学ぶメリット
ソーシャルワークの多様なアプローチを学ぶことは、専門家としての能力を高め、クライエントに対してより効果的な支援を提供するために重要です。以下に、その主なメリットを専門的な観点からまとめます。
多角的な視点の獲得
各アプローチは異なる理論的背景や方法論を持ち、特定の問題や状況に適した視点を提供します。例えば、心理社会的アプローチは個人の内的要因と環境要因の相互作用を重視し、エコロジカルアプローチは人と環境の全体的な関係性に焦点を当てます。これらを学ぶことで、クライエントの問題を多角的に分析し、包括的な理解が可能となります。
柔軟な支援方法の選択
多様なアプローチを習得することで、クライエントの個別のニーズや状況に応じて最適な支援方法を選択・適用できます。例えば、短期的な問題解決が求められる場合には問題解決アプローチを、長期的な行動変容が必要な場合には行動変容アプローチを適用するなど、柔軟な対応が可能となります。
専門的スキルの向上
各アプローチの理論と実践を深く学ぶことで、専門的なスキルや知識が向上します。これにより、クライエントの多様な課題に対して効果的な介入が可能となり、支援の質が高まります。
倫理的実践の強化
ソーシャルワークは倫理的実践が求められます。各アプローチを学ぶことで、クライエントの尊厳や価値を尊重し、倫理的に適切な支援を提供するための指針を得ることができます。
これらのメリットを通じて、ソーシャルワーカーはクライエントの多様なニーズに応じた質の高い支援を提供できるようになります。また、自己の専門性を高め、社会的責任を果たす上でも重要な意義を持ちます。
社会福祉士国家試験
社会福祉士国家試験でも、ソーシャルワークのアプローチは必須なので、いくつかご紹介します。
第33回・問題98
第33回・問題98 | 次の記述のうち,人と環境との関係に関するソーシャルワーク理論として,最も適切なものを1つ選びなさい。 |
選択肢1 | リッチモンド(Richmond,M.)は,「人」,「状況」,「人と状況の相互作用」の三重の相互関連性を説いた。 |
選択肢2 | ピンカス(Pincus,A.)とミナハン(Minahan,A.)は,生態学的視座に立ち,人が環境の中で生活し,社会的にも機能していると説いた。 |
選択肢3 | ホリス(Hollis,F.)は,パーソナリティの変容を目指し,人と環境との間を個別に意識的に調整すると説いた。 |
選択肢4 | バートレット(Bartlett,H.)は,人々が試みる対処と環境からの要求との交換や均衡を,社会生活機能という概念で説いた。 |
選択肢5 | ジャーメイン(Germain,C.)は,クライエントの環境は,アクション・システムなど,複数のシステムから構成されると説いた。 |
ホリス | 「人」,「状況」,「人と状況の相互作用」の三重の相互関連性を説いた。 [心理社会的アプローチ][状況の中の人] |
ジャーメイン | 生態学的視座に立ち,人が環境の中で生活し,社会的にも機能していると説いた。 [人と環境との相互作用][エコロジカルアプローチ][生態学][システム理論] |
リッチモンド | パーソナリティの変容を目指し,人と環境との間を個別に意識的に調整すると説いた。 [診断主義アプローチ][社会診断] |
バートレット | 人々が試みる対処と環境からの要求との交換や均衡を,社会生活機能という概念で説いた。 [ソーシャルワーク実践の共通基盤][価値・知識・調整活動(介入)] |
ピンカスとミナハン | クライエントの環境は,アクション・システムなど,複数のシステムから構成されると説いた。 [チェンジエージェントシステム][クライエントシステム][ターゲットシステム][アクションシステム] |
よって正解は4になります。
第33回・問題101
第33回・問題101 | 次のうち,ソーシャルワークにおける機能的アプローチに関する記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。 |
選択肢1 | クライエントが被っている差別や抑圧に対抗するため,既存の制度や政策を批判し,これらの変革を目指す。 |
選択肢2 | クライエントとのコミュニケーションを通じ,クライエントのパーソナリティの変容と環境との機能不全の改善を目指す。 |
選択肢3 | クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化し,援助過程の中でクライエントの社会的機能の向上を目指す。 |
選択肢4 | クライエントの望ましい行動を増加させ,好ましくない行動を減少させることを目指す。 |
選択肢5 | クライエントの問題の解決へのイメージに焦点を当て,問題が解決した状態を実現することにより,クライエントの社会的機能の向上を目指す。 |
エンパワメントアプローチ | クライエントが被っている差別や抑圧に対抗するため,既存の制度や政策を批判し,これらの変革を目指す。 |
心理社会的アプローチ | クライエントとのコミュニケーションを通じ,クライエントのパーソナリティの変容と環境との機能不全の改善を目指す。 |
機能的アプローチ | クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化し,援助過程の中でクライエントの社会的機能の向上を目指す。 |
行動変容アプローチ | クライエントの望ましい行動を増加させ,好ましくない行動を減少させることを目指す。 |
解決志向アプローチ | クライエントの問題の解決へのイメージに焦点を当て,問題が解決した状態を実現することにより,クライエントの社会的機能の向上を目指す。 |
よって正解は3になります。
第32回・問題101
第32回・問題101 | ソーシャルワーク実践理論の基礎に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 |
選択肢1 | ランク(Rank,0.)の意志療法は,利用者の過去に着目し,利用者のパーソナリティの構造や自我の働きを捉える診断主義学派の礎となった。 |
選択肢2 | ロス(Ross,M.)のコミュニティ・オーガニゼーション説は,地域における団体間調整の方法としてのインターグループワークを提唱した。 |
選択肢3 | ホリス(Holis,F.)の心理社会的アプローチは,診断主義学派と機能主義学派,両アプローチの折衷アプローチであり,両学派の統合を試みた。 |
選択肢4 | タフト(Taft,J.)ら機能主義学派は,ソーシャルワーカーが所属する機関の機能に着目し,機関におけるソーシャルワーカーの役割を重視した。 |
選択肢5 | パールマン(Perlman,H.)の問題解決アプローチは,精神分析や自我心理学の理論を否定し,人・状況・その双方の関連性においてケースワークを捉えた。 |
フロイトの精神分析理論 | 利用者の過去に着目し,利用者のパーソナリティの構造や自我の働きを捉える診断主義学派の礎となった。 |
ニューステッター | 地域における団体間調整の方法としてのインターグループワークを提唱した。 |
パールマンの問題解決アプローチ | 診断主義学派と機能主義学派,両アプローチの折衷アプローチであり,両学派の統合を試みた。 |
正解 | タフト(Taft,J.)ら機能主義学派は,ソーシャルワーカーが所属する機関の機能に着目し,機関におけるソーシャルワーカーの役割を重視した。 |
ホリスの心理社会的アプローチ | 精神分析や自我心理学の理論を[統合し],人・状況・その双方の関連性においてケースワークを捉えた。 ※否定ではない |
よって正解は4になります。
まとめ
このようにソーシャルワークアプローチは、クライエント一人ひとりの状況やニーズに応じた柔軟で効果的な支援を可能にする重要な基盤です。その多様性は、現場での実践を支えるだけでなく、ソーシャルワーカー自身の専門性を高める助けにもなります。多角的な視点や倫理的実践を身につけることで、より質の高い支援が実現できるでしょう。