社会福祉の知識

【面接技法】ソーシャルワークで役立つ面接技術と基本姿勢まとめ

ソーシャルワーク実践において、面接はクライエント支援の根幹をなす専門技術です。クライエントとの間に信頼関係を構築し、課題の本質を的確に把握するため、体系的な面接技法は不可欠となります。支援者としての倫理観に裏打ちされた基本姿勢から、状況に応じて使い分ける応用技術まで、面接技法では深い知見が求められます。

本記事では、日常の支援に役立つソーシャルワーカーが押さえておくべき面接の基本姿勢と技術について解説していきます。



ソーシャルワークと面接技法

ソーシャルワークにおける面接は、単なる情報収集や日常的な会話とは本質的に異なります。これは、クライエントが自らの課題と向き合い、主体的に解決へと進むプロセスを支援するための、意図を持った専門的な援助活動です。

この活動の質を大きく左右するのが面接技法であり、その土台となるのがクライエントとの信頼関係、すなわち「ラポール」の形成です。良好なラポールがなければ、クライエントは安心して自己を開示することが難しくなり、本質的な課題解決が困難になる場合があります。

そのためソーシャルワーカーには、傾聴や共感、質問といった基本技術を深く理解し、個々の状況に応じて柔軟に応用するスキルが求められます。適切な技術を用いることで、クライエントが安全な環境で自己を深く見つめ、自身の力で変化を創り出していくことを支えるのです。

ソーシャルワークにおける面接は、クライエントが自ら課題解決へ進むプロセスを支える、専門的で意図的な援助活動


面接法の種類

面接と一言で言っても、その進め方にはいくつかの形式が存在します。ソーシャルワークの実践では、面接の目的やクライエントの状況、面接の段階に応じて、これらの形式を適切に選択し、時には組み合わせることが求められます。

代表的なものとして「構造化面接」「半構造化面接」「非構造化面接」の3つが挙げられ、それぞれに異なる特徴と利点があります。これらの形式を理解することは、より効果的で目的に沿った面接を実施するための第一歩となります。


構造化面接

構造化面接とは、あらかじめ定められた質問項目と順序に従って進める面接手法です。

この方法の最大の利点は、すべての対象者から一貫性のあるデータを効率的に収集できる点にあります。面接者による進行のばらつきが少なく、得られた回答を客観的に比較・分析しやすいため、主に研究調査や大規模なニーズ把握の場面で用いられます。

一方で、質問項目以外の事柄については深掘りがしにくく、クライエント個別の複雑な事情や予期せぬ側面に触れる機会が限られるという側面も持ち合わせています。そのため、個別の支援計画を立てる初期段階よりも、特定の情報を網羅的に収集する目的に適した手法と言えるでしょう。


半構造化面接

半構造化面接は、多くのソーシャルワーク実践の場で活用されている、柔軟性に富んだ面接手法です。

事前に確認すべき事項や質問のガイドラインは準備しつつも、厳格な順序にはこだわらず、クライエントの話の展開に応じて質問を追加したり、内容を深掘りしたりします。このアプローチにより、必要な情報を網羅的に収集するという構造化面接の利点と、クライエントの語りに寄り添いながら本質的な課題を探るという非構造化面接の利点を両立させることが可能です。

インテーク面接やアセスメントなど、クライエントの全体像を把握しながら個別の事情にも深く焦点を当てる必要のある場面において、特にその有効性を発揮します。


非構造化面接

非構造化面接は、特定の質問項目を設けず、クライエントが自由に語る内容に沿って展開していく面接手法です。

面接者は主に傾聴に徹し、クライエントの言葉や感情の流れを丁寧に追うことで、クライエント自身も気づいていなかったような深層にある想いや課題が自然と浮かび上がってくることを促します。この手法は、特にクライエントとのラポールを形成する初期段階や、クライエントが混乱しており考えがまとまっていない状況で効果的です。

ただし、面接を効果的に進めるためには、話が発散しすぎないよう適切に関わりつつ、重要な点を的確に捉える高度な傾聴スキルと洞察力が面接者に求められます。


構造化面接あらかじめ定められた質問と順番に沿って行う面接方法
すべての対象者から一貫性のあるデータを効率的に収集できるメリット
半構造化面接ガイドラインは準備しつつも展開に応じて柔軟に質問を行う面接方法
必要な情報を網羅する構造化面接と語りを重視する非構造化面接の利点を両立させることが可能
非構造化面接特定の質問項目を設けずクライエントが自由に語る内容に沿って展開する面接方法
クライエント自身も気づいていない深層にある想いや課題が浮かび上がってくる利点


面接技術と基本姿勢

優れた面接は、単にテクニックを駆使するだけでは成り立ちません。むしろ、クライエントと向き合うソーシャルワーカー自身の「基本姿勢」こそが、あらゆる技術の効果を支える土台となります。

どのような技法を用いるか以前に、支援者としてどのようにクライエントと関わるのかという専門的価値観や倫理観が問われるのです。ここでは、その根幹となる原則と思想、そして具体的な技術体系について解説していきます。


バイスティックの7原則

ソーシャルワーカーの対人援助における基本姿勢を体系化したものとして、最も古典的かつ重要なのが「バイスティックの7原則」です。

これは、援助関係の基礎となるべき理念を示したものであり、すべての面接技術はこの原則の上に成り立っていると言っても過言ではありません。一つ目の「個別化」は、クライエントをステレオタイプに当てはめるのではなく、その人固有の背景や価値観を持つ唯一無二の存在として捉える原則です。次に「意図的な感情表出」は、クライエントが自身のポジティブな、あるいはネガティブな感情を自由に表現できるよう促すことを重視します。それに対し「統制された情緒的関与」は、支援者自身がクライエントの感情に共感しつつも、それに飲み込まれることなく、自らの感情を専門的にコントロールする必要性を示します。

そして「受容」とは、クライエントの言動や価値観を、善悪で判断することなく、あるがままに受け止める姿勢を指します。これは、クライエントを一方的に非難しない「非審判的態度」と密接に関連し、信頼関係の構築に不可欠です。さらに「自己決定の尊重」は、クライエントが自らの人生を選択し決定する権利を最大限に尊重し、支援者はあくまでそのプロセスを支える役割に徹することを示しています。最後に「秘密保持」は、面接で得た情報をクライエントの同意なく外部に漏らさないという専門職としての絶対的な責務であり、安心感の基盤となります。

これらの原則は、常にソーシャルワーカーの心に留めておくべき行動指針なのです。



アイビィのマイクロカウンセリング

バイスティックの原則が支援者としての「あり方」を示すものだとすれば、アレン・アイビィが体系化したマイクロカウンセリングは、面接を成功に導くための具体的な「やり方」、すなわち行動レベルのスキル群を示したものです。

この理論の画期的な点は、カウンセリングという複雑なコミュニケーションを、「マイクロスキル」と呼ばれる練習可能な最小単位の技術にまで分解したことにあります。これにより、面接者は自身の関わり方を客観的に振り返り、段階的にスキルを習得していくことが可能になりました。

その基本となるのが「かかわり行動」であり、視線の合わせ方、身体の向き、声のトーンといった非言語的な要素を通じて、クライエントに「あなたの話を真剣に聴いています」というメッセージを伝えます。この土台の上で展開されるのが「傾聴の連鎖」です。まず「開かれた質問」と「閉ざされた質問」を使い分けて会話を促し、クライエントの発言を「言い換え」たり「要約」したりすることで内容の正確な理解を深めます。

さらに、言葉の背後にある感情を汲み取って伝える「感情の反映」は、共感的な理解を示し、ラポールをより強固なものにします。これらの基本的な傾聴スキルから、より積極的な「自己開示」や「直面化」といった働きかけの技法まで、マイクロカウンセリングは多岐にわたるスキルを階層的に整理しています。

これらの個別の技術を意識的に学び、統合して実践することで、面接の質を体系的に高めていくことができるのです。



動機付け面接

動機付け面接は、クライエントが自身の行動を変えることに対して、相反する感情、すなわち「両価性(アンビバレンス)」を抱えている際に特に有効なアプローチです。

この技法は、支援者が一方的に変化の必要性を説いたり、解決策を提示したりするのではなく、クライエント自身の内側から変化への動機が生まれるよう、協働的に支援していくことを目指します。その根底には、人は自らが見出した理由によって最も変化しやすいという思想があります。

支援者は、クライエントの自己決定権を絶対的に尊重し、専門的なスキルを用いて、クライエントが自身の言葉で「変わりたい理由」を語り始める「チェンジトーク」を巧みに引き出していきます。このプロセスを通じて、クライエントは変化に対する抵抗感を減らし、自らの意思で行動変容へと向かう力を高めていくのです。そのための具体的なコミュニケーションスキルとして、「OARS(オールズ)」と呼ばれる技法が知られています。

「開かれた質問(Open-ended questions)」でクライエントの考えや価値観の探求を促し、「是認(Affirmations)」によってクライエントの持つ強みやこれまでの努力を認め、自己効力感を育みます。そして、クライエントの発言を深く聴き、その本質を伝え返す「聞き返し(Reflective listening)」と、会話の中のチェンジトークを拾い集めて強調する「要約(Summaries)」を駆使します。

これらのスキルは、クライエントの主体性を尊重し、パートナーとして変化のプロセスに寄り添う、動機付け面接の哲学を体現するものです。



まとめ

本稿では、ソーシャルワークにおける面接技法について、その根幹をなす基本姿勢から具体的な技術体系までを解説しました。

面接は、クライエントとの信頼関係を構築し、その人自身の力を引き出して主体的な変化を支えるための、極めて専門的な活動です。バイスティックの7原則に代表される支援者としての姿勢を常に心に留め、状況に応じて面接法を選択し、マイクロカウンセリングや動機付け面接といったスキルを磨き続けることが不可欠です。

本記事が、一人でも多くの支援者の方の面接技術の向上と、より質の高い支援の実践に繋がる一助となれば幸いです。

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