はじめに
本記事では、社会福祉を学ぶ方や国家試験合格を目指す方向けに、社会福祉法についての概要やポイントをわかりやすくまとめております。
社会福祉法のはじまりは、1951年の社会福祉事業法になります。
その後、2000年に社会福祉事業法が「社会福祉法」へと改正されます。
「措置から契約へ」という言葉があるように「利用者本位のサービス」が重視される時代に入ります。
福祉の法律はたくさんありますが、その中でも社会福祉法は「共通基盤」として全ての分野に関連する法律になります。
以下、本記事についてご紹介となります。
どんな人を対象?
・社会福祉法について学びたい
・社会福祉士国家試験合格を目指したい
・将来、社会福祉に関わる仕事に就きたい
・社会福祉を学び、自身を成長させたい
それでは以下、社会福祉法についてご覧ください。
社会福祉推進連携法人
社会福祉法のまとめに入る前に、最近の動向について触れていきます。
令和2年に地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律が施行されました。
それに伴い、社会福祉法の改正では「社会福祉推進連携法人」が新たに創設されました。
※社会福祉法等の一部を改正する法律のため、社会福祉法のみならず介護福祉法、社会福祉士及び介護福祉士法なども改正されております。
社会福祉推進連携法人は、社会福祉法人等が社員(一般社団法人という形態)となって、創意工夫による多様な取り組みを通じて、地域福祉の充実や、災害対応力の強化、福祉サービス事業に係る経営の効率化、人材の確保・育成等を推進が図られるとのことです。
社会福祉推進連携法人
第125条
・一般社団法人(社会福祉法人は設立不可)
・地域福祉の推進に係る取組を共同して行うための支援
・災害時の安全を共同して確保するための支援
・経営方法に関して知識の共有を図るための支援
・資金の貸し付けや調達
・従事者の確保や資質の向上
・必要な設備又は物資の供給
第132条ー4
・社会福祉推進連携法人は、社会福祉事業を行うことができない
社会福祉推進連携法人の設立により、同じ目的意識を持つ法人が個々の自主性を保ちながら連携し、規模の大きさを活かした法人運営が可能になるとの期待があります。
今後の動向がどのようなものになるか注目です。
重層的支援体制整備事業
社会福祉法の改正により、「重層的支援体制整備事業」が創設されました。
この事業は社会の変化に伴って、より多様化複雑化した人々のニーズ(社会的孤立・8050・ダブルケアなど)に着目し、これまで制度の対象になりにくいケースや、複合的な生活課題を抱える人々を意識した事業になります。
重層的支援体制整備事業の検討過程においては、「①すべての人びとのための仕組みとすること」、「②実践において創意工夫が生まれやすい環境を整えること」、「③これまで培ってきた専門性政策資源を活かすこと」を大切にされたとのことです。
対象(高齢者や障害者など)や属性(要介護・生活困窮)で捉えない新たな可能性に目を向けるものとなっております。
またこの事業は「任意事業」という形態をとり、各市町村が主体となって構想・実現していくことを念頭におくことから、実施を希望する市町村の手あげに基づく任意事業となっております。
以下各事業の概要についてまとめていきます。
包括的相談支援事業
・属性や世代を問わず包括的に相談を受け止める
・支援機関のネットワークで対応する
・複雑化・複合化した課題については適切に多機関協働事業につなぐ
社会福祉法第106条の4第2項第1号
参加支援事業
・社会とのつながりを作るための支援を行う
・利用者のニーズを踏まえた丁寧なマッチングやメニューをつくる
・本人への定着支援と受け入れ先の支援を行う
社会福祉法第106条の4第2項第2号
地域づくり事業
・世代や属性を超えて交流できる場や居場所を整備する
・交流・参加・学びの機会を生み出すために個別の活動や人をコーディネートする
・地域のプラットフォームの形成や地域における活動の活性化を図る
社会福祉法第106条の4第2項第3号
継続的支援事業
アウトリーチ等を通じた継続的事業
・支援が届いていない人に支援を届ける
・会議や関係機関とのネットワークの中から潜在的な相談者を見付ける
・本人との信頼関係の構築に向けた支援を力点に置く
社会福祉法第106条の4第2項第4号
整備事業実施計画
「重層的支援体制整備事業実施計画」を策定
・市町村は重層的支援体制整備事業を適切かつ効果的に実施するため上記計画を策定するよう努める
社会福祉法第106条の5
このように、重層的支援体制整備事業は新しい形の事業として、今後も注目されております。
重層的支援体制整備事業について | 地域共生社会のポータルサイト|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
社会福祉法まとめ
それでは、社会福祉法についてまとめていきます。
個人的に、法律は区切って読むことをオススメします。
なお社会福祉法を読まれる方は、社会福祉に関わる方が多いということから、国家試験の問題文を添えて、知識を補完できるように工夫して構成しております。
それでは以下ご覧ください。
〇目的・定義・理念
目的(第1条)
・本法律は社会福祉を目的とする事業の「全分野における共通的基本事項」を定めている
・福祉サービス利用者の利益の保護
・地域福祉の推進
・社会福祉事業の公明かつ適正な実施の確保
・社会福祉事業の健全な発展
上記をもって社会福祉の増進を図る
社会福祉法は上記の通り「全分野における共通的基本事項」を定めているという特徴があります。
社会福祉法で策定が努力義務とされている「地域福祉計画」も、他の法律で策定する計画の「上位計画」に位置づけられております。
このように社会福祉法は、児童や介護、障害などの各分野の方にとっても関係する内容となっております。
定義(第2条)
・第一種社会福祉事業 = 国、地方、社会福祉法人が運営主体
主に施設といった「入所系」が対象となる。共同募金も第一種事業に含まれるので注意。
※グループホームやデイサービス、ショートステイは該当しないので注意
・第二種社会福祉事業 = 上記に加え、株式会社やNPOなど幅広い運営主体
主に「通所系」(デイサービスや相談事業所など)、や「短期入所」「小規模型」が対象となる。
このように、社会福祉法では「第一種社会福祉事業」と「第二種社会福祉事業」が規定されております。
第一種社会福祉事業は「国や地方、社会福祉法人のみが運営主体となる」という点と、入所系(救護施設や更生施設、乳児院や児童養護施設、養護老人ホームや特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、障害者支援施設など)が対象となる点がポイントです。
ちなみに共同募金も第一種社会福祉事業となっております。(第113条)※第二条の規定にかかわらず、第一種社会福祉事業とすると明記。
参考として、社会福祉士国家試験の設問を使ってポイントを確認していきます。
第31回30-1
「第一種社会福祉事業の経営は、国・地方公共団体に限定されている」
・こちらは不正解となります。
・第一種社会福祉事業の経営は、社会福祉法人も可能となっております。
第22回45-5
「共同募金を行う事業は、第二種社会福祉事業であり、社会福祉協議会以外の者は協働募金を行ってはならない」
こちらは不正解となります。
共同募金は「第一種社会福祉事業」で、各都道府県にある共同募金会(赤い羽根共同募金を実施)になります。
なお、集めた寄付金は社会福祉を目的とする事業を経営する者以外には配分できません。(第117条)
第26回36-5
「共同募金において寄付金を募集する区域は都道府県を単位とし、募集期間は都道府県知事が定めるとされている」
こちらは不正解となります。
共同募金運動の期間は10月1日~3月31日の半年間で全国統一となっております。また募集期間は厚生労働大臣が決めます。
※全国一律のため、都道府県ごとではなく、国が期間を決めていると考えると良いかもしれません。
以上、社会福祉事業(第一種・第二種)に関する内容になります。
理念(第3条)
福祉サービスの理念について
・個人の尊厳を保持
・心身ともに健やかに育成
・有する能力の応じ自立した日常生活を営む
・良質かつ適切なもの
社会福祉法は、共通的基本事項について定められているため、全ての社会福祉サービスにおける共通基盤として、理念がこのように掲げられているとも言えます。
以下、参考として社会福祉士国家試験の設問を確認していきます。
第33回22-1
「個人の尊厳の保持を旨とし、その内容は、福祉サービスの利用者が心身ともに健やかに育成され、又はその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するものとして、良質かつ適切なものでなければならない」
こちらは正解となります。そのまま法律の内容が書かれております。
以上が理念になります。
〇地域福祉の推進
地域福祉の推進(第4条)
地域福祉の推進主体
①地域住民
②社会福祉を目的とする事業を経営する者
③社会福祉に関する活動を行う者
※上記が相互に協力し、地域福祉を推進
・あらゆる分野の活動に参加する機会(社会、経済、文化など)
・地域生活課題を把握し、関係機関との連携により解決
第4条はとても重要になります。
このように「地域住民」、「経営する者」、「活動を行う者」が地域福祉における推進主体となります。
福祉サービスを展開している者だけでは、地域福祉の推進はできません。
多くの方と連携して、時には巻き込んで実践を展開する必要があります。
以下、参考として社会福祉士国家試験の設問になります。
第22回37-2
「社会福祉法第4条では、地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者が、相互に協力し、地域福祉の推進に努めなければならないとされた」
・こちらは正解となります。そのまま法律の内容が書かれております。
第26回36-1
「地域住民には、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者の事業や活動を代替えする役割があると規定されている」
こちらは不正解となります。
地域住民は地域福祉の推進における主体となっております。
※言い回しが難しいですが、要は推進主体の「経営する者」や「活動を行う者」と分けて、地域住民を位置していることに違和感を感じることが大切です。
このように、地域住民も地域福祉を担う主体となります。
〇福祉サービス提供の原則
原則(第5条)
福祉サービス提供の原則
・利用者の意向を十分に尊重
・地域福祉の推進に係る取組を行う他の地域住民等との連携
・保健医療サービス、その他の関連するサービスと有機的な連携
・総合的に提供できるよう実施に努める
こちらは福祉サービス提供の原則になります。
先ほどと同様に各分野の共通事項にあたるので、利用者の意向を尊重することや、地域住民や関連機関との連携はどんな福祉サービスにおいても重要となっております。
〇福祉事務所・社会福祉主事
設置(第14条)
・福祉事務所を設置しなければならない(義務) = 都道府県・市 (社会福祉主事の配置必須【第18条】)
・福祉事務所を設置することができる(任意) = 町村(社会福祉主事の配置必須【第18条】)
※町村で福祉事務所がない場合は都道府県が設置主体(町村で社会福祉主事は必須ではない場合=つまり任意【第18条】)
・都道府県の職務(3法) = 生活保護法、児童福祉法、母子父子並びに寡婦福祉法
・市町村の職務(6法) = 上記3法+老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法
こちらは福祉事務所の設置について規定されております。
福祉事務所は、町村には場合によって義務と任意が存在し、都道府県や市は必須となっております。
また、都道府県と市町村の職務に関わる法律も上記のようになっております。
以下、参考として社会福祉士国家試験の設問を確認していきます。
第28回44ー4
「町村が福祉事務所を設置した場合には、社会福祉主事を置くこととされている」
こちらは正解になります。
大枠として「福祉事務所には社会福祉主事が必置」ということを押さえて、今回は町村に福祉事務所が設置された場合なので、社会福祉主事も必置となります。
※逆を言うと「町村が福祉事務所を設置しない場合は、社会福祉主事を置く必要がない」とも言えます。
第29回45ー5
「都道府県の社会福祉主事は、都道府県に設置する福祉事務所において、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に関する事務を行う」
こちらは不正解になります。
都道府県の職務は「生活保護法」、「児童福祉法」、「母子父子並びに寡婦福祉法」になります。
※一つでも知っていたら、この選択肢は消去できるようになっております。
また、設問はきれいに、市町村の「+3法」のことを述べております。
さすがに児童福祉法、知的障害者福祉法、老人福祉法のような出題をするほど複雑にはしません。
第34回46ー1
「都道府県の福祉事務所に配置される社会福祉主事は、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に関する事務を行う」
こちらは不正解になります。第29回と同じ内容です。
このように、「都道府県と市町村の違い」、「都道府県と市、町村の違い」などは問題をつくりやすいため出題されやすいものとなっております。
組織(第15条)
・福祉事務所の組織
①指導監督を行う所員 (社会福祉主事)
②現業を行う所員(社会福祉主事)※いわゆるケースワーカー
※役割:援護、育成又は更生の措置を要する者へ生活指導を行う事務
③事務を行う所員
・配置義務について
★Aパターン(所の長が指導監督を兼ねる) = ①所の長、②所員、③所員
※所の長が自ら指導監督を行う場合、①の所員を置くことを要しない
★Bパターン(所の長が指導監督を兼ねない) = ④所の長、①所員、②所員、③所員
つまり、「所の長」はAパターンでは社会福祉主事(指導監督を兼ねるため)である必要がありますが、Bパターンの場合は社会福祉主事でなくても問題はないことになります。
福祉事務所の組織について、①指導監督を行う所員、②現業を行う所員は、社会福祉主事である必要があります。
「①指導監督を行う所員」を所の長が兼ねる場合は、当然社会福祉主事である必要がありますし、所の長が「①指導監督を行う所員」を兼ねないのであれば、社会福祉主事である必要はないということになります。
また、②現業を行う所員(ケースワーカー)の役割(生活指導)も、押さえておきましょう。
以下、参考として社会福祉士国家試験の設問を確認していきます。
第31回67ー2
「現業を行う所員は、援護、育成又は更生の措置を要する者の家庭を訪問するなどして、生活指導を行う事務をつかさどる」
こちらは正解になります。現業を行う所員(ケースワーカー)の役割になります。
第31回67ー3
「厚生労働大臣の定める試験に合格しなければ、社会福祉主事になることができない」
こちらは不正解になります。
社会福祉主事は任用資格になるので、いくつかルートがあります。
設問はいわゆる国家試験合格のことなので、社会福祉士等が該当します。
第31回67ー4
「福祉事務所の長は、福祉事務所の指導監督を行う所員の経験を5年以上有した者でなければならない」
こちらは不正解になります。5年という規定はありません。
第31回67ー5
「福祉事務所の指導監督を行う所員及び現業を行う所員は、社会福祉主事でなくてもよい」
こちらは不正解になります。
正しくは「社会福祉主事でなければならない」になります。
「指導監督を行う所員」と「現業を行う所員」は社会福祉主事である必要があります。
第34回46ー2
「福祉事務所の現業を行う所員(現業員)は、社会福祉主事でなければならない」
こちらは正解になります。
第34回では正解選択肢として出題されております。
このように、法制度は専門職の配置も規定されているので、「福祉事務所」と「社会福祉主事」の関連が法律に則って出題されております。
社会福祉主事
・社会福祉主事の配置義務あり = 都道府県、市、町村(福祉事務所を設置している)
・社会福祉主事の配置義務なし = 町村(福祉事務所を設置していない)
※文章の流れで「市町村」とよくまとめるが、町村は義務と任意のパターンがあるので注意
・社会福祉主事は「補助機関」
※民生委員は「協力機関」なので注意
社会福祉主事の配置義務や町村に関わる内容は、先ほどの第14条の方で先に述べております。
社会福祉主事は「補助機関」、民生委員は「協力機関」となるので、混同しないよう注意しましょう。
ちなみに、1946年の旧生活保護法では民生委員は「補助機関」でありました。
・旧生活保護法:民生委員「補助機関」
・新生活保護法:民生委員「協力機関」 ※社会福祉主事:「補助機関」
このようになっております。
以下、参考として社会福祉士国家試験の設問を確認していきます。
第31回67ー1
「福祉事務所の指導監督を行う所員及び現業を行う所員は、都道府県知事又は市町村長の事務の執行に協力する機関である」
こちらは不正解となります。
前半部がいわゆる社会福祉主事であることを伝え、後半部に「補助機関」「協力機関」のどちらかを尋ねる文章となっております。
協力機関は民生委員で、社会福祉主事が「補助機関」です。
このように、福祉事務所で社会福祉主事であるのは誰か?、社会福祉主事は「補助機関か?」「協力機関か?」という内容が問われております。
〇都道府県(指導監督・訓練)
指導監督・訓練
第20条・第21条
都道府県が指導監督や訓練実施の主体であることが明記(市町村の役割ではない)
都道府県は、指導や監督、養成や訓練を担うこととなります。
社会福祉士の国家試験で、市町村で「指導や監督」、「養成や訓練」が書かれていたら、疑って読解しましょう。
〇社会福祉法人
社会福祉法人
第22条~第25条
・社会福祉事業を行うことを目的とした法人
・経営基盤の強化
・福祉サービスの質の向上(義務)
・事業経営の透明性の確保(義務)
・無料又は低額な料金で福祉サービスを積極的に提供する努力(努力義務)
・要件として、社会福祉事業を行うに必要な資産を備えなければならない
社会福祉法人は、公の支配に属する形で、その公益性を保ちながら事業を展開する法人として位置づけられております。
以前は措置制度(行政主体)が主でありましたが、「措置から契約へ(利用者主体)」という時代の変化があり、現在に至ります。
また運営に関して、「経営基盤の強化」、「福祉サービスの質の向上」、「事業経営の透明性の確保」が法律でも掲げられております。
その他、無料または低額な料金で福祉サービスを積極的に提供することが努力義務として示されております。
以下、参考として国家試験の設問を確認していきます。
第29回119-2
「社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手である」
こちらは正解の選択肢となります。その通りです。
第32回119-5
「社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を行うため、自主的にその経営基盤の強化を図らなければならない」
こちらは正解の選択肢となります。
上記の通り、経営基盤の強化が法律でも明記されております。
このように社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手となります。
所轄庁(第30条)
社会福祉法人の所轄庁
①市町村 = 主たる事業所が同じ市内
②都道府県 = 主たる事業所が同じ都道府県内で、2つ以上の市町村に渡って事業を展開する場合
③厚生労働省 = 2つ以上の都道府県に渡って事業を展開する場合
社会福祉法人の所轄庁は、事業展開するエリアによって上記のように分類されます。
以下、参考として国家試験の設問を確認していきます。
第28回119-5
「1つの市の区域のみを事業の対象とする社会福祉法人の所轄庁は、都道府県知事である」
こちらは不正解の選択肢となります。
設問は上記①の場合なので、「市」が所轄庁になります。
このように社会福祉法人の所轄庁は規定されております。
機関
機関の設置
・社会福祉法人は「評議員、評議員会、理事、理事会、監事」の設置義務
・評議員:役員(理事や監事のこと)または職員を兼ねることができない
・評議員会:役員(理事や監事のこと)または会計監査人(一定の規模を超えると設置義務)を決議によって選任する役割
・理事:6人以上
・監事:2人以上 (評議員・理事・職員を兼ねることができない)
・理事会
ア)「社会福祉法人の業務遂行の決定」「理事の職務の執行の監督」「理事長の選任及び解職」
イ)「理事の中から、一人理事長を選任」
ウ)重要な業務執行の決定は理事に委任することができないものもある(財産、職員の選任、体制など)
社会福祉法人は評議員や理事などを選任し、評議員会や理事会を運営します。
以下、参考として国家試験の問題を確認していきます。
第30回119-1
「役員の選任は、評議員会の決議を必要とする」
こちらは正解となります。評議員会の役割となります。
第30回119-4
「監事は、理事、評議員又は当該法人の職員を兼ねることができる」
こちらは不正解となります。監事は、いわゆる監査役なので、他と兼任しないことが必須となります。
第33回119-5
「評議員会の設置は任意である」
こちらは不正解となります。評議員会の設置は現在は必須となっております。
このように、社会福祉法人を経営・運営するにあたって、評議員会や理事会といった場で意思決定の確認や議決が行われます。
解散(第46条)
社会福祉法人の解散(第46条)
・評議員会の決定によるもの
・定款に定めた解散事由の発生
・目的たる事業の成功の不能
・合併
・破産手続開始の決定
・所轄庁の解散命令
社会福祉法人の解散について、明記されております。
そのうち合併について、下記の通りになります。
合併(第48条)
社会福祉法人は、他の社会福祉法人と合併することができる。
※合併契約を締結する必要あり
吸収合併(第49条)
・吸収合併存続社会福祉法人
・吸収合併消滅社会福祉法人
※合併により存続する法人と消滅する法人がでてくる
効力は「登記」と「所轄庁による認可」で生じる
国家試験では以下のような設問が出題されております。
第29回119-3
「社会福祉法人は、他の社会福祉法人と合併できない」
こちらは不正解となります。上記のように合併できます。
以上が社会福祉法人の解散と合併になります。
〇地域福祉計画
社会福祉法では、「地域福祉計画」について明記されております。
つまり、地域福祉計画の根拠法は「社会福祉法」ということにもなります。
市町村地域福祉計画
第107条
・地域福祉の推進に関する事項
・策定するよう努める(努力義務)
・共通して取り組むべき事項(高齢者・児童・障害者・その他)
※地域福祉計画は、各分野の計画の上位計画に位置する
・健全な発達(社会福祉を目的とする事業における)
・住民参加の促進(地域福祉に関する活動への)
・策定または変更する場合は「地域住民等の意見を反映させるよう努める(努力義務)」
都道府県地域福祉支援計画
第108条
・市町村地域福祉計画の達成に質するため、広域的な見地から策定
・策定するよう努める(努力義務)
・共通して取り組むべき事項(高齢者・児童・障害者・その他)
・市町村の地域福祉の推進を支援するための基本的方針
・従事する者の確保や資質の向上に関する
・福祉サービスの適切な利用の推進、健全な発達
・策定または変更する場合は「公聴会の開催等住民その他の者の意見を反映させるよう努める(努力義務)」
このように都道府県は市町村の支援や、資質の向上といった都道府県に特徴な内容も含まれ、広域的な見地から策定されます。
第26回36-3
「地域福祉計画の策定に当たっては、要援護者への意見徴収をしなければならないと規定されている」
こちらは不正解となります。
第107条 市町村地域福祉計画
2、市町村は市町村地域福祉計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、地域住民等の意見を反映させるよう努めるとともに、その内容を公表するよう努めるものとする
第108条 都道府県地域福祉支援計画
2、都道府県は、都道府県地域福祉支援計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、公聴会の開催等住民その他の意見を反映させるよう努めるとともに、その内容を公表するよう努めるものとする
このように地域福祉計画では、「住民の意見」を反映するよう努めるとされております。
第31回35-1
「市町村社会福祉協議会は、市町村地域福祉計画と一体となった地域福祉活動計画を策定するとされている」
こちらは不正解となります。
★市町村地域福祉計画 = 市町村(策定は努力義務【第107条】)
★市町村地域【活動】= 市町村社協 (※社会福祉法に明記されていない)
※社協と市が連携して計画を策定することもあるので、一緒に(一体に)合わせた一つの計画を策定することはありますが、必ずしもというわけではありません。
以上が地域福祉計画になります。
〇福祉人材センター
福祉人材センター
第93条(指定等)
・都道府県知事が設置
・社会福祉事業等に関する連絡及び援助を行う等
・社会福祉事業等従事者の確保を図ることを目的
・都道府県ごとに一個に限り、「都道府県福祉人材センター」として指定することができる
このように、都道府県に設置が義務づけられております。
第31回30-5
「市町村に対して、福祉人材センターの設置を義務づけている」
こちらは不正解となります。市町村ではなく、都道府県になります。
以上が福祉人材センターになります。
〇社会福祉協議会
社会福祉協議会
第109条「市町村社会福祉協議会」
1:社会福祉を目的とする事業の企画及び実施
2:社会福祉に関する活動への住民参加のための援助
3:社会福祉を目的とする事業に関する調査、普及、宣伝、連絡、調整および助成
第110条「都道府県社会福祉協議会」
1:~各市町村を通ずる広域的な見地から行うことが適切なもの
2:社会福祉を目的とする事業に従事する者の養成及び研修
3:社会福祉を目的とする事業の経営に関する指導及び助言
4:市町村社会福祉協議会の相互の連絡及び事業の調整
このように「養成・研修」「指導・助言」「連絡・調整」といったカテゴリーは都道府県の役割になります。
第26回36-4
「市町村社会福祉協議会の業務は、「社会福祉を目的とする事業の企画及び実施」や「社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助」であり、「社会福祉を目的とする事業の調査、普及、宣伝、連絡、調整及び助成」は含まれない」
こちらは不正解となります。
上記の通り「社会福祉を目的とする事業に関する調査、普及、宣伝、連絡、調整及び助成」も含まれます。
以上が社会福祉協議会になります。
〇その他
最後にその他の社会福祉法に関する設問を少し紹介ます。
第29回119-4
「社会福祉法人の非営利性とは、収益を出してはならないという意味である」
こちらは不正解となります。
収益を配分することができないだけで、収益事業も認められております。
「社会福祉事業(第一種)・(第二種)」「公益事業」「収益事業」が認められております。
第29回119-5
「社会福祉法人には、株式会社の法人税率と同じ税率が適用される」
こちらは不正解となります。
社会福祉法人は税金の面で優遇されております。法人税は基本的に非課税となります。
第30回122-1
社会福祉法人の財務について
「再投下可能な財産(社会福祉充実残額)を算定しなければならない」
こちらは正解となります。
一言でいうと、法人で残高が残った場合は、ため込まないで再投下することを規定しております。
また、残高が出た際には社会福祉充実計画を作成し、所轄庁に提出、承認を得ることとなっております。
以上が社会福祉法のまとめになります。
まとめ
このように、社会福祉法は福祉サービスの共通事項について明記されており、幅広い範囲を取り扱うものとなっております。
社会福祉を学ぶ上で、たくさんの法律がありますが、社会福祉法は押さえておきたい法律になります。
また国家試験においても、社会福祉法に関する内容が多々出題されます。
是非、当HPを通じて、社会福祉に関わる人や、国家試験合格を目指す人の背中を後押しできれば幸いです。
良かったら他の記事もご覧になってみてください。
引き続きどうぞよろしくお願いします。