コラム

【ソーシャルワークの起源を探る】縄文時代~北海道入江貝塚で発見された小児麻痺の埋葬骨から

はじめに

本日は管理人によるコラムということで、北海道の入江貝塚で発見された埋葬骨のお話を取り上げたいと思います。

いつもの知識や歴史の記事に比べ、私的な視点から記事を書いていきます。

それでは肩の力を抜いて、どうぞよろしくお願いします。

入江高砂貝塚~北海道洞爺湖町

北海道の洞爺湖町には、2021年に世界文化遺産に登録された史跡「入江・高砂貝塚」があります。

洞爺湖町は過去に主要国の首相が集まる「洞爺湖サミット(2008年)」も開催されたリゾート・観光地となっております。

北海道洞爺湖サミット - TOP (mofa.go.jp)

私たち北海道民も「洞爺」と言えば、洞爺湖を象徴とした観光や温泉といったイメージの街になります。

今回はそんな洞爺湖町にある「入江貝塚」で発見された出来事について紹介です。

小児麻痺と思われる埋葬骨の発見から

入江高砂貝塚館 | 社会教育課 (town.toyako.hokkaido.jp)

入江・高砂貝塚館 – 北海道デジタルミュージアム (hokkaido-digital-museum.jp)

※写真等も掲載されているのでよかったらご覧になってみてください。

上記写真は入江貝塚にあるパネル写真になります。

この写真にもあるように、入江C地点貝塚において、ある小児麻痺にかかった人と思われる埋葬骨が発見されました。

縄文時代において、この方は寝たきりであったにも関わらず「20歳前後まで生存していた」事実が話題になりました。

発見された出来事

縄文時代において、小児麻痺で寝たきりであった人が誰かに支えられながら20歳前後まで生きていた。

このように、ソーシャルワークの起源はCOSと言われておりますが、実はこういうところに起源というものが隠れているのかもしれません。

私もはじめてソーシャルワークを教えてもらった先生に、このことを教えてもらったことを今でも鮮明に覚えており、コロナ渦から3年を経てようやく足を運ぶことができました。

私見として

ここからは私見になりますが、介護といえば介護保険制度、福祉と言えば社会福祉サービス制度が中心となります。

しかし、「福祉というものは、もっと遥か昔から存在しているもの」ということを福祉に従事する人たちは忘れてはいないでしょうか。

そうでなければ、人類は何万年と続いていないと個人的に感じております。

また、争いが生まれたのは、農業が展開された弥生時代からとなります。しかし北海道は寒冷地で米作ができなかったことから、弥生時代というものは存在せず、アイヌという文化が続き、現在も存在します。

そして、今回館内を案内してくれたガイドさんも「縄文時代という優しい時代があった」という言葉を述べておりました。

私は共生社会というものは、どこか「自然と共生する社会」とも言えるのではと個人的に思っております。

また、「レジリエンス」といった生きていく上で必要な耐性というものも、人から厳しくされて養われるものではなく、「自然の厳しさの中で養われるもの」であると感じております。

もしかしたら、縄文時代に現代を生きるヒントというものがあるのかもしれません。

私は、大学で数学を専攻しておりました。

そこで学んだことで大変印象的だったことは「ユークリッド原論」「数学にも歴史があること」でした。

社会福祉にも「原論」と呼ばれるものがあります。とても大切なことです。

また歴史として一つの例をあげるとすると、今ある筆算は、実は昔は職業でもあったそうです。

今では私たちは教育によって、小学生でも筆算を行うことができます。

このように起源に遡ると、「言語や計算がなくても、人は自然と共生して生きていた」ことがまぎれもない事実としてあります。

私はいわゆる知的障害のある人と言われる方々と一緒に、作業として自然の中で働き過ごしておりました。

それぞれみんな個性がありました。言語を話せない人も、計算ができない人も、それ以上の個性がありました。

社会はこれまで平均的な能力を求める時代がありました。

しかしこれからは、「まるで知的障害のある人達が暮らすような個性豊かな社会」が求められるのではないでしょうか?

終わりとして

「縄文時代に小児麻痺で寝たきりであった人が、誰かの支えがあって20歳前後まで生きた出来事」を例に、ソーシャルワークの起源や原点というものは、もしかしたらこういうところにもあるという視点を、私は幸運ながら教えてもらうことができました。

私は「”社会福祉は一重にものの見方にあり”」と必ず記事では書いております。

是非、本HPを通じて、一人でも多くの人に「価値としてのバトン」を届ける役割を果たせることがあれば幸いです。

そして、今を生きる人たちと共に、過去と未来をつなげる懸け橋を小さいながらもつくっていきたいと内に秘めております。

引き続きどうぞよろしくお願いします。

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